2006年 03月 31日
「雪国」のあふれる人情
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
これは、川端康成の小説「雪国」(新潮文庫版)の有名な冒頭である。

青春18きっぷ、というJRの普通列車に1日乗り放題となる切符があるのだが、これを使って日帰りで温泉にでも行こうと思った。

東京から普通列車で日帰りできる越後湯沢が良さそう、と思い、その途中で「汽車が止まった信号所(現在の土樽(つちたる)駅)」に寄ってみた。

で、確かに長いトンネルを抜けると、雪国であった。
そして、ほかに土樽駅で降りる人はいなかった。
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駅のまわりを雪が降る中散策すると、駅の裏にある山小屋(ロッジ)以外、何にもない。
店や人家がいっさい無いのである。
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あとで、越後中里方面に歩くことになるのだが、駅から2km以上歩いてやっと人家が現れる、そんな駅であった。

この駅は駅の裏に「土樽スキー場」が直結しており、かつては週末のみ営業していた、とのことだが、年間の利用者数が2,000人に満たないということで、閉鎖されてしまっている。

ネットで土樽駅を検索すると、山歩きをする人たちの拠点として使われているようであり、加えて元々が信号所であったため現在でも信号所として保線の拠点となっており、この2つが駅の機能のほとんどであるようだ。

往来する列車が冬期は8往復(土日ダイヤ)と少ないので、"ご利用は計画的に"する必要がある。
消費者金融のCMで言われているように、駅近くに蓬橋(よもぎばし)なるバス停があり越後湯沢駅まで出られる、ということを"事前にチェック"してあったものの、そのバス停が見あたらない。

駅でじっとしていてもなんだか寂しいのと、肝心のバス停を探すために、バスが走るであろう道を湯沢方面に歩いてみることにした。
道路はきれいに除雪されていて車もほとんど往来しないため、雪が降りしきるものの雪道を歩ける格好をしていれば思いのほか歩きやすい。
# 防寒・防雪をしていないと、イタイ目に遭います。

電線の保守工事作業などを横目に見ながら、2キロほど行ったところに、やっと集落があった。
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まだまだバス停が見あたらないので、とぼとぼ歩いていると、車で通りかかった地元の方が声をかけてくれた。
雪の中、ふらふら歩いているのを不憫に思ってくれたのか、湯沢の駅まで帰り道ついでに車に乗せていってくれるとのことだ。

前にも、伊豆の下田で雨宿りをしているところを、駅まで車に乗せてもらったことがあり、こうした地元に人たちの優しさに感動する。

「雪国」の主人公である島村も、そんな湯沢の人の優しい気質に惹かれたのだろうか。

ありがたく暖かい車に乗せてもらい、いろんな話を聞かせてもらった。
  • 道路脇に雪が3mぐらい積もっているが、これで最高時の半分まで減った
  • 大雪も地元の人からすれば慣れっこである
  • ニュースで今冬の豪雪が話題になったが、1月に降る量が12月中に降っただけであり、ニュースは騒ぎすぎである
  • 融雪装置が道路に埋め込まれており、さらに午前3時から除雪をするので、朝の通勤通学時間帯は何ら問題なく移動できる
  • 除雪した雪は、田畑に一度積んでおき、春に向けて溶かしたり川に捨てたりする

本当に駅の近くまで送ってもらい、その後、そばを食い、温泉に入り、日本酒を購入した。
日帰りで来られる場所として湯沢を選んでおいてこう書くのもどうかと思うが、ぜひ温泉宿に宿泊して夜の温泉街も堪能してみたかった。
越後湯沢から阿佐ヶ谷までは普通列車の乗り継ぎで4時間弱、新幹線を使う場合のおよそ倍の時間であるものの、青春18きっぷを使ったので交通費は約5分の1となっている。

自分も車に乗っていて、雪や雨の中困っている人を見かけたら、送っていってあげるような、そんな人になろう、と帰りの長いトンネルの中思うのであった。
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by touch-go | 2006-03-31 18:25 | コラム


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