2006年 04月 04日
国境のトンネルにまつわるエトセトラ
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
これは、川端康成の小説「雪国」(新潮文庫版)の有名な冒頭である。

前回、前々回と、この"国境の長いトンネル"である上越線の清水トンネルと新清水トンネルの両側にある駅についてつらつら書いてみた。
少々しつこいが、またもやこのトンネルに関する話題を取上げてみたい。

このトンネルを挟む、水上駅~越後中里駅間には、さきに書いた土合駅、土樽駅に加え、湯桧曽という3駅があるが、今の時期だと平日5往復、休日6往復しか列車がやってこない。

この区間は、上越新幹線の開通によって、東京と新潟を行き来する乗客を完全に新幹線に奪われている。
しかも、土合、土樽は周辺に人家が見あたらないため、この数往復の列車は、さきに書いたように、山歩きをする人と青春18切符で旅行するような人が主な客層であるように見える。

だからといって、利用者が少なくても、ファンキーな土合駅やトンネルを抜けた雪景色を堪能できるこの区間を廃止する、などと言うことは考えないで欲しいものだ。
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過去の新聞を見ると、ファンキーな土合駅を抱える区間だけあって、ワンダホーな記事が載っている。
懐中電灯だけでトンネル通過 JR上越線、室内灯スイッチ入れ忘れ
【2003年10月18日 東京読売新聞 朝刊】

17日午後1時40分ごろ、水上町湯檜曽のJR上越線湯檜曽駅で、水上発長岡行き下り普通電車(三両編成)の室内灯がすべて消えているのに車掌が気付いた。
約20分間停車して点検したが原因が分からず、乗客約60人を最後尾の車両に集めて運転を再開。乗客らは、新清水トンネル(全長約13.5キロ)を通過する約15分間を備え付けの懐中電灯四本で過ごした。乗客は越後湯沢駅で別の車両に乗り換えた。

JR東日本高崎支社によると、車掌側の運転台にある室内灯のスイッチが入っていなかった。男性車掌(22)は「スイッチを入れたつもりだった」と話しているという。
13キロ余りのトンネルを懐中電灯だけで通過する。ある意味アミューズメントである。トンネルの中にある土合駅でこの電車を待っていたら、1両目2両目とも真っ暗で人が乗っていないこの電車を見て、かなりびっくりしたことだろう。

さらに、こんなファンキーな人もいた。
上越線清水トンネルを歩いた男女を逮捕 鉄道営業法違反の疑い
【1998年9月9日 朝日新聞 朝刊】

7日午後9時10分ごろ、JR上越線清水トンネル(全長13.5キロ)下り線で、普通列車の運転士から、二人の歩行者を見たとの通報がJR東日本新潟支社にあった。
約一時間半後、群馬側から約9キロの地点で、同支社の保線区員が、横浜市の無職男性(53)と女性(56)の夫婦を見つけ、鉄道営業法違反の疑いで現行犯逮捕した。

沼田署の調べでは、土合駅から徒歩で同トンネルに入り、新潟側に抜けようとしたらしい。
捜索の間、上越線は土合―土樽間が約三時間運転を見合わせ、上下四本、約九百人に影響が出た。
駅の460段余りの階段を降りたぐらいでは、健脚ぶりが満たされなかったのだろうか。
もしくは、隣の駅までは、阿佐ヶ谷と高円寺の間くらい距離であろうと思いこみ、歩いていたのかも知れない。

普通列車の運転士も、さぞびっくりしたことだろう。
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"いよいよ谷川岳です"と、まっしぐらにトンネルを目指した夫婦も、なかなか斬新な発想の持ち主である。
次は新幹線の大清水トンネル(全長22km)でチャレンジして欲しい。
国境のトンネルを歩いて抜けるのは絶対にやめましょう。
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by touch-go | 2006-04-04 14:20 | コラム


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